外国人の不動産所有、一元管理へ 政府が新システム導入を検討

政府は外国人による不動産所有の実態把握を強化するため、一元的なデータベースの構築に向けた調整を進めている。

現在の把握体制と課題

日本では不動産の所有者情報は法務局の登記簿に記録されるが、国籍情報の記載は任意となっており、登記簿だけでは外国人所有か日本人所有かを完全に区別することは困難な状況にある。国土交通省が定期的に調査を実施しているものの、全件調査ではなくサンプル調査が中心だ。

特に外国資本が入った日本法人が不動産を所有する場合、形式上は日本法人名義となるため、実質的な外国人所有を把握しにくい。また、相続や贈与で所有者が代替わりした際に登記が更新されないケースもあり、実態把握が遅れる要因となっている。

政府の新たな取り組み

2025年11月4日、外国人政策に関する関係閣僚会議の初会合が開催され、高市早苗首相は外国人による土地取得ルールの見直しに向けた不動産保有の実態把握について、2026年1月を目途に政策の方向性を示すよう指示した。

この動きは、同年6月5日の自民党政務調査会特命委員会からの外国人政策第一次提言を受けたもの。提言では不動産登記について国籍や利用実態等を含めた土地所有者等情報の統一的な充実を図ることが盛り込まれ、6月13日に閣議決定された骨太の方針でも、土地に関連する台帳の所有者等の情報データベースの充実について対応を検討することが言及された。

データベース構築の内容

現在検討されている主な内容は、不動産登記への国籍情報の記載充実、複数の土地関連台帳を統合した一元的データベース構築、利用実態の把握強化などだ。

自民党と日本維新の会の連立政権合意書には、2026年の通常国会で外国人による土地取得規制を強化する法案を策定すると明記されており、データベース構築は外国人による不動産取得規制強化の一環として進められている。

なお、近年は安全保障上重要な土地については、2022年施行の重要土地等調査法により、所有者の調査権限が強化されている。

政府は2026年1月の方向性提示、その後の法案提出という流れで、外国人不動産所有の実態把握強化を進めていく見通しだ。

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